たかが歯周病、されど歯周病
- 2023年12月8日
- 歯周病
本コラムをご覧いただきありがとうございます。大学卒業後すぐに歯周病の臨床に飛び込んでいつの間にか長い月日が過ぎました。その間、勤務先の院長に海外短期留学(Boston)の機会を頂いたり、山本歯科を開業してからも大阪大学大学院歯学研究科に社会人大学院生として学びなおしたりと、一見”地味”な歯科医師人生を”思いっきり”謳歌してまいりました。虫歯治療や義歯、抜歯など一般の歯科治療ももちろんしてきましたが、私の学びの関心は一貫して歯周病に向かっています。
SNSで”食”の投稿が多いように、食は我々にとって無くてはならないものであり、大きな楽しみでもあります。歳をとって身体の自由が制限されても、病気でつらい目にあっても、最後の最後まで”食べること”は楽しみとして残ります。そんな食を陰で支える歯科医療は責任重大です。昭和時代は虫歯であふれていましたが、今では虫歯は激減しています。そしてそれに伴って歯周病に注目が集まっています。歯周病は歯を支える組織を失う病気なので、進行するとしっかり噛めなくなります。ただ、痛みを伴うことがほとんどないため、進行に気付かず、発見が遅れることが多いのも特徴です。
歯周病では歯を失うことはあっても命を失うことはありません。そのため『歯周病の予防は大切です』というキャンペーンが空回りしやすいところがあります。しかしながら近年、歯周病と全身疾患に関係があるという報告が激増し、もはや『歯周病は全身疾患と関係があること』が常識化しています。糖尿病や高血圧、動脈硬化症、肥満、早産、低体重児出産、関節リュウマチ、アルツハイマー病など、我々の命やQOL(生活の質)に影響するような病気が歯周病と関係していると言われています。
そんなことより定期健診にお見えになってください!悪くなっていないかしっかり検査を行い、気持ちのいいクリーニングを受けてください!不安を解消し、口の中もすっきりして、多少なりとも他の病気のリスクが下がる可能性もあります。今後は本コラムを通じて、私のライフワークである歯周病について解説していきたいと思います。